ネタバレ注意

先日観た映画「ホワイトハウス・ダウン」と同年に公開され、同じようにホワイトハウスがテロリストに占拠される映画で、よく比較されるというのを知ってAmazon プライム・ビデオで観ました。







エンド・オブ・ホワイトハウス
邦題エンド・オブ・ホワイトハウス
原題Olympus Has Fallen
2013年アメリカ
時間114分監督アントワーン・フークア
出演ジェラルド・バトラー / アーロン・エッカート / モーガン・フリーマン / リック・ユーン

個人評価: ★★★★★★★★★★ (6/10点)



リアルで生々しいが、キャッチーさがない、キャラクターに思い入れが芽生えない


始まりからシリアスで、「これは『ホワイトハウス・ダウン』に勝つか」と思ったんですよ。しかしどうも見事に一長一短で(笑)



「タイタニック」的手法の「ホワイトハウス・ダウン」の良さ
(ホワイトハウス・ダウンの記事に書くべき内容💦)


「ホワイトハウス・ダウン」主人公ジョンの娘エミリーは米国大統領の大ファン。ホワイトハウスの事もよく知っている。更にホワイトハウスツアーにも参加し正常な状態を見て回りと、視聴者にも初めにエミリーのように大統領とホワイトハウスのファンになってもらうのですね。またよくできた正常状態のレプリカホワイトハウスの美術力を見せつける事も意味があるでしょう。それだけで感動しますし、視聴者にはダメ押しで「『あの』ホワイトハウスが」と思ってもらえます。

そしてテロリストとの戦いが始まってからもホワイトハウスを縦横無尽に戦い、「みんなが知ってるあの部屋も、この部屋も」というのが明確に分かりやすく、ほぼ全部ぶっ壊していきます(笑)

これは僕が好きな1997年の映画「タイタニック」でも全く同じ手法が見られます。
まず、タイタニックの独特な沈み方を知らない視聴者に予備知識を入れてもらう為、わざわざ現代編ではボーディンさんがCGで作成したタイタニック沈没のシミュレーションを見せ(これでも当時幼かった僕の弟は沈みゆく状況が理解できなかったらしい😅)、巨大さ・豪華さ・力強く元気に進む様子が描かれます。そして正常時から沈没中にかけて、ジャックとローズは非現実とも言える程(笑)、タイタニックのあちこちの部屋を駆け回るのです。一等・三等客室はもとより、最も象徴的なシーンの船首・ボイラー室・荷物室・船尾…。当然何となくではありません。意識的に色々な部屋を回るように設定されているのです。これが映画たる、映画にできる、やって良い部分。



「エンド・オブ・ホワイトハウス」はリアルだが


「PG12」指定。非常に激しい銃撃戦が繰り広げられ、敵も味方も死にます。暴力がむごい部分もあります。テロリストの怖さが伝わります。
また、テロリストが色んなアプローチで同時多発的に攻め入ったのもホワイトハウスの牙城を崩すのにリアルでした。

しかし、分かりやすさ、メリハリ、キャッチーさ・キメの構図がありません。
冒頭のキャンプ・デービッド帰りの交通事故は、結果的に人為的じゃないしそうにおわす必要がないのにはっきり単独事故だと判らなかったり(プチ雪崩が起こったなどの一コマを入れるべき)、暗くてホワイトハウスのどこの部屋なのか分からなかったり、「このキャラはこの属性があるからこう戦う」みたいな映画的な事がありません。例えばアーロン・エッカート演じる大統領は冒頭キャンプ・デービッドで趣味でボクシングをしていますがそれがあとで活きてくる事がない、ジェラルド・バトラー演じる主人公マイクがテロアタック直前アイゼンハワー行政府ビルでくつろいでるシーン等、不必要に分かりづらかったり意味がないシーンがあります。
また、音楽など編集のメリハリもない、リズムを感じない事がありました。

リアルと言ってもCGと合成、ビジュアルは「ホワイトハウス・ダウン」に比べるとあまいです。空から攻撃したAC-130や、それが衝突して崩れ落ちるワシントン記念塔のCGはあまく、ホワイトハウスを占拠したテロリストが星条旗を下ろす夕暮れのシーンでは、綿密なグリーンバック撮影をせずに夕焼けの空を後から合成しているのか、ボケた人物の輪郭が濃く黒く出ています。

また、夜のシーンが非常に多いです。導入のキャンプ・デービッドまでも夜。全体の6割が夜です。
テロリストの占拠とリアルタイム感としては夜がリアルですが、美術のごまかしがあるのかなと思ってしまいます。



リアルが良い部分で、良くやれば「ホワイトハウス・ダウン」を超える事も可能だと思いますが、皆さんの評価はなるほどこういう事かと感じました。
間違いなく「観れる」ので、「ホワイトハウス・ダウン」と比較して観てみてもいいかも知れません。