ネタバレ注意

Amazon プライム・ビデオで話題作が早くも追加料なしで登場。観てみました。





1917 命をかけた伝令
邦題1917 命をかけた伝令
原題1917
2019年 (アメリカ)アメリカ / イギリス
時間119分監督サム・メンデス
出演ジョージ・マッケイ / ディーン=チャールズ・チャップマン

個人評価: ★★★★★★★★★ (9/10点)

*当作品のタイトルを見て、これまでのここの書き方では判り辛いと思い、フォーマット変更。もっときちんとしました。以後「映像作品レビュー」記事のここの部分はこのように記します。



1カット長回しに見える映像が圧巻


当作品の売りは何と言ってもこれ。一般的な約2時間の劇映画作品ですが、1カット長回しに見えるような作品です。実際にはカットされているようで、うまく繋いでいます。しかしこことかなんだろうなと推測はできますが、全く違和感がなく綺麗に1本で撮り続けているように見えます(正確には1度主人公が気絶し暗転するので、普通に観て2カットに見えます)。

演技をとちらないようにする大変さだけではありません。長時間演技が素晴らしいのはもちろんですが、カメラワークが凄いです。どのように撮影したのか気になる事の連続です。更に、1カット(風)のままで、明るい場所から暗い場所へ。砂埃、水の中…。カメラ・映像撮影のプロが見るとまた唸る挑戦的映像の連続なのです。

壕の中での爆発と生き埋めに撮影の困難さを想像して重ね、より刺激を感じました。

100倍良くした「地獄の黙示録」


戦争で、主人公に使命があって、恐ろしい戦場を進み、道中色々な光景を目にする。
骨子は「地獄の黙示録」に似ていると思います。
それぞれユニークさがあります。しかし、「地獄の黙示録」のユニークさは「何だか変な芸術派」というところ、当作品は「1カット長回し(風)への挑戦によって生まれる芸術派」。当作品の大勝利です。

1カット長回し(風)の挑戦は撮影の挑戦だけではない


1カット長回し(風)の挑戦は撮影方法の挑戦だけではありません。場面のバラエティさへの挑戦です。上にも書いたように、当作品ではそこも意識されており、割りかし狭い範囲を移動する中で、塹壕・荒野と泥地・有刺鉄線の森・たくさんの死体・壕・爆破直撃と壕崩落・空中戦と飛行機墜落・仲間の死・車に乗る・草原・廃墟の街・大火・荒波の川・森と美しい歌声などなど、更には「屋内と暖炉と女性と赤ん坊」という光景にも出会うのです。

宗教的な構図の暗喩もありそう。詳しくないから判らない。



街の暗闇と照明弾の明かり、大火と十字架のシルエット、川と花びら、森と歌声…。芸術・幻想的な感じが少々入ってきますが、エキセントリック過ぎず自然で、しっかり現実に戻します。
ここも僕が「『地獄の黙示録』に似て、勝ってる」と言いたいところです。
女性と赤ん坊のシーンも、女性がその赤ん坊の本当の母親ではないし、傷の手当てもテキパキとせず、母性感・温かさを出し過ぎない事は意図的だろうなと感じました。リアリティを出しています。



やや欠点


女性と赤ん坊は主人公の味方で隠し部屋に潜んでいるのを主人公が偶然部屋を見つけるという中(しばらくは住んでる模様)、その周囲はドイツ軍がうろうろしているという、狭い範囲の中で無理があるようにも感じます(笑)



高度な難題に立ち向かって見事に綺麗に組み上げた、素晴らしい作品でした。



【追記】28日


劇中に地名が出てくるので調べたところ、地形的にはあまり再現してなさそうです。
エクースト町 南東2キロ クロワジルの森へ
フランスにエクスト・サン・メンとクロワジルという町があり、その近辺が物語の後半〜目的地付近。この付近にドイツ撤退後の防衛線があったのは間違いないですが、現在のGoogle マップ・ストリートビューを見たところ、エクストとクロワジルの間や近辺に激流の川はなさそうです。昔から開拓があったかも知れませんが、クロワジルの森なるものもなさそう。また、劇中の廃墟化したエクーストの町は高い建物が密集した都市に見えますが、実際のエクスト・サン・メンは一軒一軒のゆとりの間隔があり平屋の多いのどかな田舎町のようです。昔はもっと密集していた可能性はありますが。

しかしこれは自分の当作品の評価には影響しません。

実際のエクスト・サン・メン1番の大通り。作品内の廃墟の都市のイメージよりのどかそう