ネタバレ注意



アメリカンスクールバス



ターミネーターシリーズ最新(最後?)作、昨年の「ターミネーター: ニュー・フェイト」がAmazon プライム・ビデオで追加料金で観られるようです。それより以前のターミネーターシリーズ(映画)は意外にもその前の作品「ターミネーター: 新起動/ジェニシス」を見逃しているだけだったので、ニュー・フェイトを観る前に観ておこうと思いました。
作品名 (原題)米国公開日監督等備考
ターミネーター
(The Terminator)
1984年ジェームズ・キャメロン不朽の名作
ターミネーター2
(Terminator 2: Judgment Day)
1991年ジェームズ・キャメロン不朽の名作
大好き
ターミネーター3
(Terminator 3: Rise of the Machines)
2003年ジョナサン・モストウ尻すぼみ
ターミネーター4
(Terminator Salvation)
2009年マックGクール
レビュー記事
ターミネーター: 新起動/ジェニシス
(Terminator Genisys)
2015年アロン・テイラー今回
ターミネーター: ニュー・フェイト
(Terminator: Dark Fate)
2019年ティム・ミラー
(製作総指揮: J・キャメロン)
新作・未見



ターミネーター: 新起動/ジェニシス (Terminator Genisys) (2015) レビュー
★★★★★★★★★★



豪華でちゃんとデキるビジュアルに支えられた、感情移入できない作品


うーん。多々惜しいです



欠点


登場人物に感情移入できない
とにかくこれが大きいですね

キャスティング
下に書きますが、サラ・コナー役エミリア・クラークさんは良いのではないかと思います。しかしサラも、当作品ではたくましく育った世界線という事ですが、リンダ・ハミルトンさん版の殺人術マスター的たくましさがない。
そして良くないのが、ジョン・コナー(ジェイソン・クラークさん)とカイル・リース(ジェイ・コートニーさん)。まさか自分が映画の役者をビジュアルで受け付けないとは思いませんでした。まず大前提でジョンが敵になっちゃったらダメなんですが、敵にする用としてのキャスティングのつもりかも知れませんが、何かダメですね。この顔はジョン・コナーじゃない

2人これで恋してないよな、しないでってなる
うーん。繰り返しになりますがこんな思いになるとは。T-800が機械的に「今ならセックスできる時間があるぞ」って度々言い、サラは「そんな簡単なものじゃない。もう言わないで」と返すやり取り。そんな中でも視聴者は2人が急速に恋をしてセックスをするという事をターミネーターシリーズのストーリー上判っています。が、どうもカイルが格好良くないですね 顔もだけど、強い設定のサラに対するカイルの頼りになる感がない。オリジナルの古き良き時代の中で、元か弱い女子サラと戦士カイルだったら良いんだけど、当作品は何か互いに惹かれ合うのを視聴者が納得せずに無理やりムードが始まる。
とにかく、全体的にキャラを把握できず、愛せず終わる感じ。

カイルの平和な世界線での記憶とかの良い素材がもったいない
カイルの平和なマイホームでのフラッシュバックとか良い「泣きの素材」になる、人となりを作れる素材になるかと思うのですが、どうも活かせてない。



当然、ジョン・コナーが大敵はない、T-800も怪しく見える演出不良
これはファン心の「やめて。汚さないで」じゃないんです。いや、それなのかな。とにかくないわ。T-3000に改造されたジョンが当作品での大敵。そしてジョン・コナーの配役、あのお顔がナシ。ジョン・コナーじゃない。

そしてラスト。…いや、もうサイバーダイン社入りから全く興味なくなってたんですが(笑)
ジョンを倒す為にT-800が抑えつけてタイムマシンに入ります。そして、サラとカイルはその場をあっさり脱出するのですが、うーん。2人の危機管理能力なら、これまでは正面から戦ってきて、弱ったT-800とあのどうなるか判らない状況。立ち去れないのでは。
2人が立ち去ったあと、T-800は液体金属のプールに落ちて消滅、ジョンも無事消滅。
そして逃げた先で、T-800がT-1000のように腕を剣にして部屋に入ってきます。どう考えても演出としても「敵が生きてた! 来た!」という状況です。なのに容姿がT-800と判った瞬間サラが抱きつきに行きます。T-800は「アップグレードした」とだけ言います。
意味不明でWikipediaを視たところ、T-800は液体金属のプールに落ちて、その液体金属で自身の破損を修復し、強力になって生き返ってきたという事のようです!?? 全くもって説明不足・演出不足。



クリ監かぶれの難解タイムトラベル
僕の嫌いなクリ監(クリストファー・ノーラン監督)な演出を感じます(「インセプション」は好きですがあれでも不必要に解りづらいと思います)。難しい話なのにセリフが端的で不必要に難しい。何だか理解して進まないといけないビッグイベントがこちらにしっかり刺さってこない。



現代映画は「速い」と言われるが理由がある
当作品に限らず、現代のアクション映画は展開が速いなどと言われたりしますが、それは流行と言えば簡単ですが、細かい理由の1つに「CGIの多用化」があると思うのです。
実写・現実のセットだけで壮大な風景や大爆破、破壊をした時って、せっかく作り出したそのアクションをしっかり、長々と見せたくなる欲が出ます。もったいないし、数カメで同時撮影してどこから撮っていても現実に起こしたシーンの為、使えるのです(逆にNGシーンができる事もあるけど)。
CGで作り出したアクションシーンは、レンダリング(映像を高画質で生成するコンピューター内の処理)に時間がかかったり、CGで作ったアクションを別の角度からもとなると、別角度から見た場合の背景のCGを作成していなかったり一部平面の画で作っていたり、CGと判ってしまうので長々とは見せたくなかったりブラしたかったりと、CGIならではの事情があります。
古い実写撮影ではあった自然な制作側の感覚「迫力のあるシーン=たっぷり見せたい。もっとじっくり見て」に余計な感覚「一瞬しか見せられない。実際速いアクションなんだからいいだろ」が加わってきたと思うのです。
結果、壮大なのに一瞬というシーンが昔の映画に比べ、増えたと思います。これはある種贅沢な映像になりそうですが、貧相になると思います。僕は迫力のあるシーンは迫力のあるシーンとして見たいです。



実写で現代の街が破壊され、カーチェイスし、人々が逃げ惑うシーンが見たい
前「ターミネーター4」のレビュー記事にも書きましたが、結局、アクション映画って現代の街で繰り広げられるのが1番面白いです。実感でき、迫力を感じます。
当作品でもありますが、CG頼りも多い感じがします。

特に上の節に関係してきますが、引きの画でCGIの大爆発って迫力を期待している視聴者としては意味がありません。これはターミネーター3でも感じました。



美点

  • CGの若年シュワちゃん
    この映画で1番凄いところだと思います。世界一の有名人の若い頃をCGで制作。本物と見分けがつかないように。とてつもなく大変な事をやってのけたと思います。このCG T-800(シュワちゃん)と、最新作ニュー・フェイトで出てくるらしいCGジョン(エドワード・ファーロング)の2人などが今のところリアル人間のCG制作で、世界一でしょう。
    ほかを下げる必要はないですが、この映画と同時期に日本で話題になった某リアルCG少女もこのシュワちゃんと比べるとあまいし、昨年のAI美Sひばりさんとかはもう足元ですよね。あれ何でリアルに作らないんだろうって嫌味を言いたく…(ごめんなさい)

  • 多々あるこれまでのターミネーターシリーズのオマージュ
    1、2作目のオマージュは素直に楽しい嬉しいです。これはキャメロン監督ではない作品3、4、5いずれでも見られます。

  • 良いアクションがある
    印象に残りませんが(笑)、多々良いアクションもあります。

  • サラ・コナー役がカワイイ方向に振ったリンダ・ハミルトン
    他レビュー見るにこれ気付かない人は気付かないんですかね? 一応似た人を選んだと思うんです。当作品のサラ・コナー役エミリア・クラークさん。カワイイリンダ・ハミルトンさん(元祖サラ・コナー役)だと思いませんか?(リンダさんに失礼) お2人ともフルハウスのミシェル顔なんですよね。

  • T-1000役にアジア人を起用してみるという冒険
    ターミネーター2でロバート・パトリックさんが演じたT-1000を当作品は韓国人俳優のイ・ビョンホンさんが演じています。鋭く不気味なT-1000らしさをうまく演じられていると思います。

  • スケールの大きさ
    世界観の再現に妥協が見られず、場面場面で切り取ったビジュアルは凄いと思います。