ネタバレ注意

Amazon プライム・ビデオで観ました。



LION/ライオン 25年目のただいま (Lion) レビュー
★★★★★★★★★★





最初に言うと、最高傑作でした。
大泣きしました。素晴らしい作品です。



タイトル


全く予備知識なしで観ました。
邦題「LION/ライオン 25年目のただいま」。原題「LION」。
タイトル正直良くないなぁと思います。個人的には手に取りづらいです。インドでライオンで。「ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日」に似てるのかなって思っちゃいました。そして個人的に、動物で泣かせる物語に限界を感じてます それもあってこのタイトルは邦題も原題も手に取りづらいなぁと。
作品の最後にこのタイトルの理由が判ります。動物の名前にするしかないとすると実話なのでこのタイトルしかない訳ですが、もし長旅をする動物がいて、この物語にもその動物の伏線があって、その動物の名前をつけてあれば最高でした。
実際は動物の物語ではありません。

原題の「LION」はもちろん一般名詞なので、ネット上の公式の推し方は「Lion Movie」のようです。公式サイトURLは「www.lionmovie.com」(現在は削除)。本当不利だと思います
うちの「iLand」に存在が似ている…(笑) なので、大切な作品に最も短い1単語だけをつけたい気持ちも解ります。

パッケージ画像・キャスト順


(日本での?)BD・DVD・ネット配信の、分割窓のパッケージ画像(ポスター画像)(Google 画像検索)も良くないですね
分割も良くないし、映画では、本編の内容を無視し、俳優の有名度による忖度のポスターやキャストの名前の順番はよくありますね。当作品も例外ではなく当作品ポスター的にはルーニーやニコールが大きめに。個人的に当作品の主役度は、
  1. サルー(幼少) / サニー・パワール(Sunny Pawar)
  2. サルー(青年) / デーヴ・パテール(Dev Patel)
  3. グドゥ(兄) / アビシェーク・バラト(Abhishek Bharate)
  4. カムラ(実母) / プリヤンカ・ボセ(Priyanka Bose)
  5. スー(養母) / ニコール・キッドマン(Nicole Kidman)
  6. ルーシー(青年時彼女) / ルーニー・マーラ(Rooney Mara)
だと思います。
しかし、当作品エンドロールは実際の作品の登場順番優先でえこひいきなしの順番です! ニコールやルーニーが下で目立たないのです。作品映像内はエンドロールにおいても完璧。



映像美


終始被写界深度が浅いです。ここに幼い主人公の目線と記憶を感じました。映像をはっきりさせて個人を悪にする必要はないのです。幼い子が見る恐怖と不安と記憶を感じました。

オープニングのタスマニアの風景、インドの風景も美しい。

VFXの「ちょっと待てぇ」(千鳥風)がないので余計な事を考えずにストーリーが入ってくる


ヘタなVFX(特撮)がないので(VFX全般の否定ではなく本当の意味でヘタなです)、観る側の引き込まれた心が離れません。こないだ観た「最高の人生の見つけ方」は引き合いに出すレベルにも達してませんが、まあ悪い例代表としましょう。本作は「クサくない」。演出も映像力学も。コルカタでの街の象徴として登場するハウラブリッジは別の場所で撮影しての合成のシーンがあるかな。ハズれかも。全く映像に欠点がありません。

実写のフラッシュバック


愛しい兄のフラッシュバックが余計な特撮はなく出てきます。特にサルーが寝ている時に横に出てきて触れるシーンは絶妙です。



色んな琴線に触れる。解る


遠い国の恵まれない子たちの話だけど、感覚が解るんですよね。
演出の賜物であり、演技力の賜物だと思います。

失礼かもしれませんが、世界のスラム街の風景に懐かしさを感じる事があります。
島の田舎にはトタンの建物の風景が昔からありました。雑木林・荒れた土地・見てくれを気にしない婆ちゃん爺ちゃん…そういうのを見ると懐かしさを感じます。都会に生まれ育った人にはあるのかな。田舎に生まれ育ってよかったと思います。

そして、家族愛・兄弟愛。
恥ずかしながら特に兄弟愛にジャストフィットします。兄弟がいる人は解ると思います。
観終えた直後に、大阪にいる弟にLINEでおすすめしました(笑)

幼い頃の迷子。誰に頼っていいのか分からない。
僕は幼い頃に名瀬の花火大会で迷子になった事があります。従兄が目を離してはぐれてしまいました。他人に婆ちゃんの家まで送り届けてもらったんだっけな。

養子にしてもらったタスマニアで育ち青年になり、異文化交流パーティ、他人種と恋する感じも。
英会話関係に参加させてもらってる今の僕の環境にあり、気持ちが重なりました。

そしてもちろん、懐かしい土地を夢中でGoogle Earthで探す感覚。誰にでもあるでしょう。

おまけで、サルーが青年になってからを演じるデーヴ・パテールが、インドネシアに消えていったうちの父に似てます(笑)
…そうそう。これだ。そもそも奄美の一部の人がインド人に似ている(笑) これは日本でも南西諸島民だけの特権ではないでしょうか(笑) インドや東南アジアの人々の顔に親近感があるのです。

多くの事が自然に同感でき、感情移入できました。



よくできた実話


言わずもがなですが、当作品は実話を元にした物語で、その事実で脚色なしで取り入れたであろういくつものの点が、不謹慎かも知れませんが本当によくできています。
「ガネストレイ」と間違えて認識していた事から、インド一国内でも地域で違う言語が使われている事、養子の弟になった自傷行為をしてしまうマントッシュの存在、実母は引っ越しをしていて実家はもぬけの殻→からの近くに住んでた! という最後のガッカリハッピーなど。

脚色は恐らく想定内


実話を元にした作品は、大なり小なり「脚色問題」がありがちです。脚色はあるだろうなと思っています。「恐らく」というのは自分の想定外の脚色はないだろうなという。
僕は劇映画は、その映画作品だけを観て理解し感動できるものであるべきという考えがあるので、実話を元にしていてもとにかく「劇映画」と認識し、その映画作品だけを観てどう出来上がっているかで判断します。そこに馬鹿な自分の事前常識力を無意識に加味させるだけ。難しい書き方をしましたが、多くの人の映画の観方がこれだと思います。

当作品は特にインド・コルカタの混沌具合、人身売買、治安の悪さ模写などが審議の可能性がある部分かと思いますが、まあ想定内。実際子供の行方不明の数は凄いという事なので。
次に精神が安定せず自傷行為をしてしまうという模写のマントッシュさんの名誉問題があります。ネットの英語の記事を見たところ(翻訳機にかけて)、作品を観たマントッシュさんご本人は戸惑ったという話があるようです。ちなみにマントッシュさんは虐待を受け、精神的な病に侵されてしまったとされています。

上記の事から、インド国内では大々的に上映したのかな? してないだろうな。できなさそうだなと思いました。しかし、繰り返しになりますが、僕は自身の知識のままで劇映画を劇映画の出来として観るので無問題。最高作品です。



人身売買カップルの絶妙なさじ加減


コルカタでサルーを親切に拾い、自宅に一泊させた女。次の日に彼氏がやってきて、女も男も親切な言葉しか発していないのですが、サルーは怪しさを感じ取り女の空きを見て逃げ出します。

初日の女の言動には、偽りのない母性本能を感じます。また2日目にやってきた男に怪しさを感じつつも「殺されはしないだろうな。悲しいけど身寄りのない5歳の子供が混沌とした大都会でそうやって(どこに売り飛ばされるのかは判らないけど)生きる道も…」という想像が巡ります。
繊細でリアルな演出です。



解りやすさ。確かな時間配分


全く「ん? どういう事だったっけ」と思わせる事がありません。
変なテクニックを押し付けないのです。クリ監(クリストファー・ノーラン監督)さんは見習ってほしいです。

全体に対する前半インドの時間がボリュームがあるように感じましたが、観終えてタイムラインを見てみると、全体の4割でした。前半が目を見張る展開なのでもっとあるように思えました。



Google マップ


Google Earthでふるさとを探し出したサルー。
僕も特に名称が出ず風景として登場している所も独自に探してみました。
この埋め込み地図のみでは位置関係が判らないと思うので、ぜひ「拡大地図を表示」をクリックして大きく広げてそれぞれ見に行って下さい。

サルーのふるさと。ガネッシュ・タライ(ガネストレイ), カンドワ(Ganesh Talai, Khandwa / गणेश तलाई, खंडवा)


ガネストレイ / Ganestalay…幼いサルーが間違って認識して、以降思い込んでいたふるさとの呼び名
ガネッシュ・タライ / Ganesh Talai…劇中での表記。Google マップで拡大した時の地名、施設名等ローカル的についてる表記
ガネーシャ・タライ / Ganesha Talai…Google マップで引きでの大きい表記。謎

地元最寄り駅カンドワから南へ1時間。お兄ちゃんと別れた運命の駅、ブルハンプル駅(Burhanpur Railway Station / बुरहानपुर रेलवे स्टेशन)

地元カンドワ駅から南下してブルハンプル駅へ。そしてここで列車に乗って寝てしまい、北上〜はるか東へ1600km。コルカタへ行ってしまいます

映画の印象よりは栄えてる可能性がある


サルーがGoogle Earthで最初にビビっと来た集落風景は周辺に見つけ切れません。
見付けました! 下に載せます。

最初に画面を止めた集落風景は、サルーのふるさとを実際より小さな村に印象づけます。
実際のガネッシュ・タライは、カンドワという大きめの町の端の地区名です。Google Earth検索画面時にカンドワの中心地とガネッシュ・タライの近さを出さない事に意図はあるでしょう。
しかし想定内で問題ありません。
実際の航空写真ではもう少し栄えてそうと言っても、確かにすぐ周りは畑と自然が広がっています。

なお、劇中のガネッシュ・タライの航空写真と実際のガネッシュ・タライの航空写真は一致しませんでした。ガネッシュ・タライは地区名であり案外範囲が狭いので、プライバシー配慮の為作った町の画像かも知れません。
またブルハンプル駅の航空写真も一致しません。しかしキーポイントになるブルハンプル駅の給水塔は本当でこれみたいです。



サルーがビビっと来てGoogle Earthの進みを止めた最初の集落
あまり詮索させない為に、またより意図的に田舎に見せる為に、架空の土地の航空写真画像かなくらいに思っていたのですが、実際にありました!
ここを発見している一般の方っていらっしゃるのでしょうか。微妙だしいらっしゃらないのでは? どのみちこれを「ほかに見つけた人いる?」ってどうネット検索していいか分かりませんね

ブルハンプルの北西にある、バディ(Badi / बडी)という集落でした。
元々この見つけたシーンの一連の動きは演出とは解ってますが、それでもサルーの境遇でこの土地の航空写真でビビっと来るのは不可能でしょう。そこそこの距離と縁のなさそうな集落からして絶対行ってないし

*ローカル地点すぎるのかこれだけ「拡大地図を表示」をすると、意図してないのに近くの別の所にピンが打たれていています。「拡大地図を表示」後、ピンではなく検索窓の虫眼鏡をクリックすると寄れます
実際ビビっと来るのは不可能でしょうが、一応演出上、作品冒頭でサルーが蝶と遊んでいたブハンブル駅近辺の荒野(バディ)から見付け → ブハンブル駅を見付け → 線路を伝って北上し → ふるさとカンドワのガネッシュ・タライ地区を見付けていったというドラマチックなGoogle Earth検索の流れとなっています。



思い出の地元の風景として出てくる、カンドワ鉄道水供給ダム(Railway Water Supply Dam, Khandwa / रेलवे वॉटर सप्लाई डैम, खंडवा)。実在




そして列車に乗ってしまい1600km行き着いた都会、コルカタ(Kolkata / কলকাতা)。その象徴として出てきたハウラブリッジ(Howrah Bridge / হাওরা ব্রিজ)。実在




上にも書きましたが、LINEで弟におすすめし、
映画を見せると途中で席を立ちがちな母にも当作は全力でおすすめできるので、今観てもらってます。

良い作品、考えさせられる作品でした。



【PS】
サルーが養子入りとして過ごす事になったタスマニアにもハウラという地域を見付けて驚いた。コルタカにハウラ(Howrah)、タスマニアにもハウラ(Howrah)

【PS2】
Amazonでは、この感動作「LION/ライオン 〜25年目のただいま〜」が評価5点満点中4.3、
こないだ観たニセ感動作「最高の人生の見つけ方」が評価4.5…。
世間はこんなに「違い」が判らないものなのか…。残念過ぎる。







【追記】26日
我慢できなくてAmazonでサントラを購入。ハマりすぎですね
来ました

LION/ライオン 〜25年目のただいま〜 オリジナル・サウンドトラック Lion: Original Motion Picture Soundtrack

美しい旋律です。これだけで泣けそう。
エンディング曲、シーアさん歌唱の「Never Give Up」も耳に残ります。昔スバルレガシィのCM曲に使われていたジェニファー・ロペスさんの「Aint It Funny」に少し似てますよね。