Yuki兄のバイク

イージー・ライダー (Easy Rider) レビュー
★★★★★★★★★★



「自由を求めた主人公達に自由はなかった」というのを自由なストーリーと自由なカメラワークと自由な編集で作った変な映画


つける自由がある筈の低評価をいつどの映画につけるんだと思ったので、ここは映画の有名さにひるむ事なく、正直につけさせてもらいました。



ツーリングシーン


楽しそうなツーリングシーンが、観る前からあったこの映画のイメージ。この映画の観る前のイメージは誰もがここだと思います。
そしてこのシーンはホームビデオ感覚のカメラワークとカット割り。実際行き当たりばったりのドキュメンタリーなのかなと思わせる流れです。ツーリングの楽しさとリアルさを感じさせます。

しかし、そこに挟み込まれる“演技シーン”は作られたもので、でもそれは自然で、そのバランスがこの映画の良さなのかななどと感じさせます。この感覚に星4です。

ツーリングシーンにはゴキゲンな楽曲も次々と登場します。しかし、この音楽も厳しく言うと映像の瞬間瞬間と合わない部分があり、これも含めて素人映像っぽさが出ていると思います。



ラリシーン


後半にいきなり異質な不気味なシーンが長く長く続きます。墓地で主人公2人と娼婦2人が性行為しつつトリップしてる感じ。LSDによりラリったという事なんですが、ほかのメッセージもあるんだろうなと感じました。
しかし、映画冒頭からずっと主人公2人はマリファナを吸ってて、その表現はほとんど描かれずにLSDでこんなに衝撃的な映像になるというのが何か…。



ラストの衝撃


前提に、この時代この主人公らは、長髪で、自由に生きようとしているヒッピーで、それを見る多くの大人達は忌み嫌っているという事があります。そういう時代という事です。

ラリシーン前に、あいのりしたアル中の弁護士(ジャック・ニコルソン)は野宿中に撲殺されます。
現代の視聴者の僕からしたら冗談だろうと思っていた飲食店での「気に食わないから殺してやろう」という地元民のひそひそ話が実行されたのです

そしてラスト、2人が走っていると並走したトラックがまず冗談でショットガンを向けます。その後、本当に撃ち殺してしまいます まずビリー(デニス・ホッパー)が打たれ道路脇に吹き飛び、トラックは走り去り、ワイアット(ピーター・フォンダ)がビリーに駆け寄り、その後助けを求めに行くのかそのトラックを追いかけるのかバイクでトラックの行った方向へ走り去ります。すると、引き返して対峙していたトラックにワイアットも同じように撃たれます。

「え゛ーーーーーっ」って言っちゃいました。そしてワイアットが撃たれた後、何とこれまで一度も使用されてなかった空撮で、その現場から画面が遠ざかって行きエンディングとなるのです なので「え゛ーっ」の後に撃たれた事を言う間もなく、「え゛ーーーーーっ空撮ーーーーー!?」って言っちゃいました(笑)

ここは道路でしょう。ロードムービーの代表格ですよ。バイクからの映像で終わりましょうよ。

そしてこんなに簡単に殺されたもんなの? 長髪が気に食わなくて? この時代でも違うよね。



現代の日本人からは解らない感覚は大きいでしょうが他にもツッコミどころの多い不思議な映画でした。