ネタバレ注意







きっと、うまくいく (3 idiots) (2009) レビュー
★★★★★★★★★★



前レビュー映画「ワンダー 君は太陽」同様、Amazon評価 星まっ金金状態の映画です ★★★★★ (1,225)
公開当時、インド映画歴代興行収入1位を記録したようです。
インドの工科大学の寮を舞台にした青春劇であり、コメディ映画だが教育問題をテーマにしており、若者の自殺率の高さなども取り上げている。2010年インドアカデミー賞では作品賞をはじめ史上最多16部門を受賞した。



色んなテーマやスタイルが詰まった映画


盛りだくさんで飽きさせない3時間近くでした。
僕「なるほど。これがテーマという訳ね」→ 映画「型にはめさせねーよ」
この繰り返しでした(笑)
どういう映画だと一言では言い表せない。凄いです。

このレビュー記事さえもどういう順番で書けばいいか、どうまとめたらいいか、決まりません(笑)

コメディで包む事で粗をツッコませなくする


シリアスだと粗い部分を見つけてしまうと途端に萎えるのですが、この映画には「それがどうした」というパワーがあるというか。

当作品の最後付近は、チャーリー・シーンに類似したインド俳優アーミル・カーン演じる主人公ランチョーの集大成である学校をちょっと見て回るような部分があり、「史実ではないフィクション偉人の偉業見せるのいらんなぁ」とはちょっと思いますが、全体としてはバランスが取れているのでまあ許せちゃいます。何というか色々ぶっ飛んでいる映画なのでそれどころではないのです。

インド人の賢さ、多様性が生む映画なのかなと


「インド映画はダンスが入ってないと国内でヒットしない」と聞いた事があります。それっていつでもシリアスでも「でもあくまでも劇なのを割り切っている」という事だと思います。当作品もそれをバリバリ感じます。泣きの部分もクールに分析できていて、賢く大胆に入れ込んでいる感じがします。

また、インド国立の工科大学をモデルにした架空工科大学が舞台で、その学長や方針を悪く言い、その学長や方針により自殺が出るなど、なかなか切り込んだ内容です。その撮影地になった大学も寛大だし、政府も反応はどうなのか判りませんが、まあ寛大です。

僕大絶賛の映画「LION/ライオン 〜25年目のただいま〜」や、今のところ前半ちょこっとだけ観ている「スラムドッグ$ミリオネア」。これはいずれもインド国外の製作ですが、まあインドの酷い環境の部分を出しています。

この事から、右翼・ネトウヨ、国内世論が一丸となり辛いのかななどと勝手に想像しました。
「こういう国の見せ方を国内外にするなんて」という批判が日本程大きくない。
国内で使用言語が分かれているのも大きそうです。



秀逸


秀逸だと思うのは、ポール・マッカートニーに類似したアリ・ファザル演じるジョイ・ロボが捨てたドローンをランチョーが拾い、愉快なミュージカルが始まって、ドローンを改造して飛ばせるようになって、ミュージカルの勢いを続けながらジョイの部屋まで飛ばしたら、ジョイの首吊り自殺が発覚という流れ。

ランチョーの講義。



欠点


映像クオリティ


ちょいちょい画質が変わる部分があります。ピクセルが見える部分、フォーカスが合っていない部分も。

多々出てくるR・マドハヴァン演じるファルハーン・クレイシーのカメラで撮影された結果の写真が、当作品映像本編の縦横比に習った凄い横長の写真ですが、ここは3:2でやってほしかったです。

26:36「ランチョーはよく出ていかされた そんな時は別の教室に潜入」の所で、教室の生徒Aが前の生徒Bの肩を叩いて(後ろにまた奴が潜り込んでるぜ)とランチョーが潜り込んでいる事を教えるシーンは、生徒Aの顔は隠れない方が良かったけど妥協したと思います。

悪者を憎めない


劇内の大悪党 学長ヴィールー・サハスラブッデー(ボーマン・イラニ)と、学生チャトル・ラーマリンガム(オミ・ヴァイディア)がどうも憎めない(笑)
特に学長は2人(息子を含めると3人か…)も自殺に導いてしまうように思えないし、そんなに十字架を背負わせるかと。
→ 判ったのが、主人公ランチョーを含め学生達が学長に距離が近い! バカにしてそうな関係性で(実際そう)恐れていないのです。こうやって分析してみるとやっぱり演出矛盾です。現状が話が早くなり楽ですが、生徒達を自殺に追い込むまでには学長は恐れ多い存在にすべきです。結果、作中の「人の命」を軽く感じさせる一端を担う事になります。

ストーリー中に自殺者2人


2人も自殺させるかね(笑) 2人目、主役の1人ラージュー・ラストーギー(シャルマン・ジョシ)は助かったけど。型破りで評価でもあります。



これも好きだけど、自分はシリアスに大泣きしたい


やはり、上にも書いた「所詮演劇です」という演出上「人の死」や「病気」が軽く見えるのは否めません。
また、ピアの姉モナ・サハスラブッデー(モナ・シング)の大雨の中の出産シーンは結果、大真面目で始まり終わるのですが、ここも全体の流れからジョークが出てくるのかなという気持ちで観てしまいました。

この映画も大好きですが、最高を考えるとシリアスな演出で粗もなく感動・大泣きしたいかも知れません。
そうなると、昨年に感銘を受けた、インドが舞台のオーストラリア映画「LION/ライオン 〜25年目のただいま〜」が大好きなのです。

しかし、当作品は素晴らしい大作でした。